Nikon F801


Nikon F801

 1988年発売なので四半世紀遅れのレビューとなってしまうがご了承願いたい。このニコンF801は私が自分の意志で初めて購入したカメラである。当時美大生であった私は大学での課題のために一眼レフカメラが必要となった。新宿のヨドバシカメラで、周りから勧められていたNikon NewFM2にするか、1/8000秒シャッター搭載の新しいF801にするか半日くらい店頭で悩みまくった末、結局口のうまい店員に勧められるままF801を購入したのだった。AF35-70mmズームレンズ付きでおよそ12万円ぐらいしただろうか、当時の世の中はバブル真っ盛りで浮かれた時代であったが、広島から出てきた貧乏美大生には全く無縁の話で、購入後数ヶ月ほど生活が苦しかったことを記憶している。約30年経った現在NewFM2は中古にもかかわらずあまり価格が下がっていないが、F801はあるカメラ店で1000円ちょっとで売られているのを見たときに私は涙が出てきそうになった。しかし金融資産の価値として見ればこの選択は間違っていたが、実用の資産として見れば決して間違っていなかったと、30年の付き合いになるこのカメラを眺めつつ断言する(強がり含む)のである。

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D40 + NIKKOR-O Auto 35mm F2


Nikon D40 + NIKKOR-O Auto 1:2 f=35mm

寄れる50mmレンズとして使う

 ニッコールレンズは中古でも少し値段が高めだが、昔のAuto時代の非Aiレンズは概ね価格が優しい。1965年に生まれたNIKKOR-O Auto 1:2 f=35mmはオークションでも実店舗でもおよそ1万円以内で手に入るし、思い切ってグイッと寄って撮ればボケも綺麗だ。ニッコールはあまりボケに関しては言われないが、うまく撮れば、玉ボケから出る彗星の尾のような光は、綺麗なグラデーションを描く。ボディは非Aiレンズも装着可能な鉄板のD40だ。50ミリレンズは意外と寄れない(50センチ前後だろうか)が、APS-Cサイズの換算約50mmで30センチまで寄ることができるこのNIKKOR-O Auto 35mmF2を強くおすすめしたい。もちろん、ふところに余裕ができて非Aiレンズ装着可能なフルサイズボディを手に入れたならば、35ミリレンズの定番として使うのも良いだろう。一粒で二度美味しい、ニコンの銘玉だ。

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