カメラレビュー第2回 Leotax S + Simlar5cm F3.5



Leotax S + Simlar 1:3.5 f=5cm

コピーライカ

 現在カメラマニア以外でバルナック型ライカを所持している人はどれくらいいるのだろうか。かつてライカ一台で家一軒買える値段と言われていた時代ならまだしも、現在はデジカメ全盛の時を通り過ぎてスマートフォン全盛の時である。中古のバルナック型ライカも手頃な値段になったが、わざわざ面倒な撮り方をしないといけないし、しかも現像にもお金のかかるフィルムで撮る人は極めて少数派になってしまった。その中でも、戦後の一時期、日本のカメラメーカーがこぞって製造したライカを模したカメラを買ってみようと思う人は、カメラ全体の販売量に比べて本当にごくわずかだろう。

  コピー品と言うとどうしてもオリジナルよりも劣ったものというイメージが付いてしまい、保守的なライカユーザーにはこれらの国産ライカを敬遠する人もいるかもしれない。実際私自身すでにライカII型(DII)を所有しており、長らくコピーライカには特に興味を持っていなかった。古いカメラを修理する職人と話す機会がよくあるが、決まって(ニコン、キヤノンを除いた)バルナックコピー機はオリジナルライカの精度には遠く及ばないと口を揃える。ただ、戦前から1950年代の日本で勃興した新興カメラメーカーの中でも、ニッカとレオタックスは比較的にカメラの作りが良いとも聞く。

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カメラレビュー第1回  Leica Ⅱ(DⅡ) + Leitz Elmar 50mm F3.5(Nickel)



Leica II(DII) + Leitz Elmar 50mm f3.5(Nickel)

ライカⅡ型(DⅡ)

 古今東西、有名無名問わず、非常に多くの人々に語られ、他のカメラマニアと同様、様々な古いカメラやレンズを使い込んできても、どうしても語りたくなるのは、やはりこのカメラが特別な位置に存在しているからであろう。自分なりにレビューする前に、最初からこんなことを書くのは身も蓋もないが、ライカⅡ型(DⅡ)を使っていて、もうフィルム写真機はこれだけで十分良いのではないかと思う時がある。ふとしたきっかけで購入し数年を経たが、被写体を写し取ることは何なのか、カメラの魅力はどういうことなのかを、未だにこの古い写真機とレンズから教わり続けているのだ。様々なメーカーのカメラを使用してきたが、このライカⅡ型のデザインの美しさや、エルマーが描き出す撮影結果を見るたびに、時が経つにつれてその思いが強くなった。

 半世紀どころか80年以上前に作られたライカII型(DII)は、それ以前に0型(ヌル・ライカ)からライカI型(A〜C型)まで存在するが、距離計やレンズ交換ができるなど写真機としての主要な機能を備えたカメラとして、同時期に発売されてたContax Iと共に歴史の節目となるカメラである。私が入手したのはシリアルナンバーが9万1000番台、1932年に製造されたものであった。

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