ニコンDX機で使うニッコール(3)


FUJI X-T1 + Micro-NIKKOR 55mm 1:3.5

Micro-NIKKOR 55mm 1:3.5

 「切れ味鋭い短刀」とでも言おうか、定番のマイクロレンズだが、個人的に通常のレンズでいまひとつ撮影がしっくりこない時にはこのレンズの出番となる。ニコンのDX機ではないが、以前FUJIのX-T1を試し撮りをしていたときRAYQUALのXマウントーFマウントアダプタで装着してみたら、しっとりとしたフジの階調にニッコールのシャープさが加わった画質が非常に新鮮であった。私自身、ボディとレンズはあまり異なるメーカーを合わせないで、できるだけ揃えたいとは思っているのだが、意外な組み合わせは、各メーカーの画質や描写の考え方の違いが浮き彫りになり、それぞれの道具の性格を知る上で有意義なのかもしれない(もちろん異論はある)。Z fcでどんな画質になるかはわからないし、新しいZマウントのマイクロレンズの方が高性能であろうが、Z fcの優れたファインダーで手動でピントを決めていくのも面白いのではないだろうか。

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Nikon F801


Nikon F801

 1988年発売なので四半世紀遅れのレビューとなってしまうがご了承願いたい。このニコンF801は私が自分の意志で初めて購入したカメラである。当時美大生であった私は大学での課題のために一眼レフカメラが必要となった。新宿のヨドバシカメラで、周りから勧められていたNikon NewFM2にするか、1/8000秒シャッター搭載の新しいF801にするか半日くらい店頭で悩みまくった末、結局口のうまい店員に勧められるままF801を購入したのだった。AF35-70mmズームレンズ付きでおよそ12万円ぐらいしただろうか、当時の世の中はバブル真っ盛りで浮かれた時代であったが、広島から出てきた貧乏美大生には全く無縁の話で、購入後数ヶ月ほど生活が苦しかったことを記憶している。約30年経った現在NewFM2は中古にもかかわらずあまり価格が下がっていないが、F801はあるカメラ店で1000円ちょっとで売られているのを見たときに私は涙が出てきそうになった。しかし金融資産の価値として見ればこの選択は間違っていたが、実用の資産として見れば決して間違っていなかったと、30年の付き合いになるこのカメラを眺めつつ断言する(強がり含む)のである。

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