カメラレビュー第8回 Tanack V3 + TANAR5cm(1)


田中光学

 古いカメラに関心のない方には聞きなれないメーカーだが、クラシックカメラ好きには比較的馴染み深いカメラであるタナックを取り上げてみる。製造元である田中光学はいつ頃設立されたのか資料が乏しく謎の多いメーカーだ。元々シネマ用レンズを製造していたらしく、1953年ごろからカメラボディを製造し始めている。同じ新興国産カメラメーカーであったニッカやレオタックスに比べ若干地味な存在であったが、レンズは他社に協力してもらうことなくすべて自社生産であった。現在中古市場の中でも比較的高額に取引されているのは、絶対数の少なさがあるものの、ひとえにオリジナルレンズであるTANAR(タナー)の独特な柔らかい描写が評価されているからであろう。

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カメラレビュー第7回 NIKKOR-N 1:1.1 f=5cm + Z 7(2)


 今年(2019年)の春に焦点工房からライカMマウント→ニコンZマウント変換ヘリコイド付きアダプター「SHOTEN LM-NZ MACRO(EX)」が発売された。このアダプターは通常のマウントから8mmほど繰り出すことによって、最短撮影距離が比較的長いライカMマウントレンズでも近接撮影が可能になる。前回と同様NIKKOR-N 1:1.1 f=5cmにAmedeoアダプターを経由してこの焦点工房ヘリコイド付きアダプターを早速試してみた。

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