レタッチ

特集「レタッチしすぎの罠」

 アサヒカメラ2019年9月号の特集記事「レタッチしすぎの罠」を遅ればせながら大変興味深く読ませてもらった。アサヒカメラ誌は言うまでもなくカメラ・写真系の出版物の中でも最も有名な雑誌で、そこはプロ・アマ問わず大変ハイレベルな写真作品でなければ掲載されないだろう。そんな権威ある雑誌が個人が自由に参加できるインスタグラム、俗に「インスタ映え」と言われる特に派手な色彩の写真に対して批判的な記事を書いている。

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カメラレビュー第8回 Tanack V3 + TANAR5cm(1)


田中光学

 古いカメラに関心のない方には聞きなれないメーカーだが、クラシックカメラ好きには比較的馴染み深いカメラであるタナックを取り上げてみる。製造元である田中光学はいつ頃設立されたのか資料が乏しく謎の多いメーカーだ。元々シネマ用レンズを製造していたらしく、1953年ごろからカメラボディを製造し始めている。同じ新興国産カメラメーカーであったニッカやレオタックスに比べ若干地味な存在であったが、レンズは他社に協力してもらうことなくすべて自社生産であった。現在中古市場の中でも比較的高額に取引されているのは、絶対数の少なさがあるものの、ひとえにオリジナルレンズであるTANAR(タナー)の独特な柔らかい描写が評価されているからであろう。

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