カメラレビュー第8回 Tanack V3 + TANAR5cm(2)
TanackV3のフイルムインジケーター
正直なところ私は使うことはないのだけれど、Tanack V3の裏蓋にあるフイルムインジケーターは大変個性的である。中心点を少しずらした蜘蛛の巣のようなデザインで格好良い。見る人によっては眼球に見えたり、下部の白い形が白山で夜空の星座が映し出されているようにも見える。田中光学は当時多く存在したライカを模倣するカメラメーカーの一つであったが、この丸い露出算出表は他のカメラには見られない逸品な見栄えだ。
カメラレビュー第8回 Tanack V3 + TANAR5cm(1)
田中光学
古いカメラに関心のない方には聞きなれないメーカーだが、クラシックカメラ好きには比較的馴染み深いカメラであるタナックを取り上げてみる。製造元である田中光学はいつ頃設立されたのか資料が乏しく謎の多いメーカーだ。元々シネマ用レンズを製造していたらしく、1953年ごろからカメラボディを製造し始めている。同じ新興国産カメラメーカーであったニッカやレオタックスに比べ若干地味な存在であったが、レンズは他社に協力してもらうことなくすべて自社生産であった。現在中古市場の中でも比較的高額に取引されているのは、絶対数の少なさがあるものの、ひとえにオリジナルレンズであるTANAR(タナー)の独特な柔らかい描写が評価されているからであろう。