LEONON 1:2 f=5cm


よりフイルムらしく撮る

 1950年代のライカコピーのスクリューマウントレンズの中でニッコールやトプコール等の名門ブランド以外で最も面白いと感じたレンズがこのLEONONだ。もともとレオタックスカメラは戦前から写真機を生産していた名門だが、レンズは主にトプコールが付けられて販売されていた。1950年代末期カメラ業界の競争激化で各社コストダウンを余儀なくされる中、自社製ブランドとして世に出たレンズのため、言葉が悪いが安物のイメージが付きまとってしまう。しかし実際に撮ってみると決して安い写りではなく、より渋く、より粒状感たっぷりに仕上げると力強い絵になる。意外と都内の中古カメラ店でちらほら見かけるレンズ。よりフイルムらしいものに仕上げたい方におすすめだ。

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仙人が作ったレンズ


ミノルタ

 今なお、かつて存在していたカメラメーカーであるミノルタを懐かしむカメラ好きは多い。1980年代に多感な時期を過ごした世代にとって、印象的だったX-7のCMや、プロ向けの硬派なイメージのあるニコンやキヤノンにはないスマートさを実体験として記憶しているし、2000年代前半、神尾健三氏をはじめ、かつてミノルタに在籍していた技術者たちが社内での出来事を、様々なレビュー誌や書籍に書き残してくれたことも大きく影響しているのではないだろうか。ミノルタに関することを調べて行くと、その技術者たちが口を揃えて言及している人物がいる。今回その強烈な存在であるレンズ設計者にスポットをあて、また彼をモデルにして登場させている小説と、彼の残したレンズをレビューしてみた。尚、本稿は木辺弘児著「ズガ池堤の家 *[1] 2001年 木辺弘児
(大阪文学学校●葦書房)
」、「日々の迷宮 *[2] 2005年 木辺弘児(編集工房ノア)」の内容を含みますので、未読の方はご注意ください。

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