RICOH MIRAI
私は基本的にレンズが付いていればどんなカメラでも大好きなのだが、このRICOH MIRAIには少々面食らってしまった。
個体差かもしれないし、30年以上前のAF創世記のカメラなのでしかたがないのだが、なかなかピントが合わない。しかし焦点が合ったとたん、撮影者の心の準備が出来ていないうちにいきなり問答無用でシャッターが切れる。これを使いこなすにはかなり慣れが必要であった。
個性的なデザイン
本体横に備えられているグリップを下に倒して握るのだが、この操作のたびにミシミシと不穏な音がする。プラスチッキーと言うよりプラスチックそのものなので取り扱いには注意を要する。横に平たい個性的なデザインで存在感がある。私は人混みの中でどんな形のカメラを使っても気にしないが、使う人によっては人通りの多い場面で恥ずかしさを感じるかもしれない。加えて、自分自身は気分良く撮っていても、例えば閑静な住宅地で見知らぬ中年男がこれをもってうろついていたら不審者と見られる可能性がある。現代日本社会において、何かと物騒な世相となってきており、特に50歳前後の日本人男性は、下の世代からは老害、会社ではリストラ対象、ご家庭では邪魔者扱いと(全てがそうとは言えないが)若干迫害気味であり、私を含め、該当する男性諸氏はRICOH MIRAIを使用の際は十分気をつけることが肝要だ。
バブルのあだ花か
描画に関しては文句のつけようがない。レンズの設計は藤陵厳達氏最後の仕事。しっかりと解像し周辺減光も魅力的。なによりフィルムの発色を上手に引き出してくれるところが素晴らしい。レンズの能力に対して未来志向のボディが追いついていない印象だ。願わくはレンズ単体で使ってみたかった。
文句をあれこれ述べたが、結構な枚数を撮っていた。結局、自分はレンズが付いたカメラなら何でも好きなんだなということを再確認したのである。
作例
出典・参考文献