私が鈴木達朗氏の写真を初めて見たのは数年前に1x.comで大量の作品をあげられていたときであったろうか。凄い写真家がいるものだと思ったが同時にこれは相当危険だなとも感じた。当然のことながら公共の場で他人への迷惑行為をしてはならない。たとえ法に触れていなくとも反社会的な行為と見なされれば、その責を厳しく問われることになる。私も写真表現をする身であり、場合によっては職を追われ、カメラを手放さなければならなくなるかもしれない。そうならない為にも最低限のマナーは守り、未だ実力不足であるが、被写体の価値が上がる努力をしなければならないと思っている。
鈴木氏の作品に関して述べると、彼の作品で描写される人物の克明な表情に、人間の顔というのは実に表情豊かなんだとうことを再認識させられる。日本ではYouTubeや動画配信サービスでよく見られるように顔を隠してパフォーマンスされる方が実に多い。そうした風潮へのアンチテーゼなのかなと思った。作品の中で路上生活者を撮ったものがある。おそらく酒かタバコを差し入れて世間話などして撮影されたのだろう。撮影者と被写体との関係が感じられて強く印象に残った。私は鈴木氏とは直接面識はないのだが、相手の容姿や置かれている立場で人を差別する方ではないと思う。それだけに今回の富士フイルムの件は実に残念だ。