カメラレビュー第4回 Neoca S + ZUNOW 1:1.8 f=4.5cm



Neoca S + ZUNOW 1:1.8 f=4.5cm + PROVIA100F

伝説のレンズメーカー

 撮ったフイルムをスキャナーに取り込む前に、トリミングやコントラストの調節等のため、あらかじめプレビュースキャン(低解像度のスキャニング)をするのだが、粗い画像のプレビューにもかかわらず、非常にシャープな写りとしっかりした色乗りに思わず「こりゃ凄い」と声を出してしまった。帝国光学のZunowというレンズは、それが生産されていた当時から半世紀以上経た現代に至るまで、多くの写真家、批評家、カメラマニア達から一目置かれているのではないだろうか。それは1953年、世界で初めてF1.1の明るさのレンズを生み出し、その個性的な造りと解放の独特な描写、それを考えた天才的な技術者、そしてわずか数年の製造期間で倒産してしまったことなど数々の要因が重なり、レンズそのものが伝説的な存在になってしまっている。それゆえ、現存するズノーレンズは中古価格において非常に高額な取引がされており、なかなか入手し辛い状況である。

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カメラレビュー第3回 Neoca 35 Ⅱ S



Neoca35 2S + NEOKOR Anastigmat C 1:3.5 F=45mm

その描写は実に絵画的


同時代の他のレンズシャッターカメラと比べスッキリと
した直線的なデザインで格好いい

 新宿カメラBOXにて購入。たしか一万円ぐらいだったろうか。ジャンクのコーナーには置いていなかったが、距離計が怪しい(時々動かない)のとシャッターに若干の粘りがある。レンズは綺麗であった。購入時はネオカに関して全く予備知識もなく、他の無骨なカメラとは違い、線が細くスッキリとしたデザインが気に入って衝動買いしてしまった。

 試写したところ、案の定ピントの甘い写りを量産したのだが、焦点があっていない部分の描写が妙に魅力的というか、目の粗い筆で描き殴った描写をする。現代の綺麗な写りのカメラに慣れていると、ちょっとこういうのは好みではないと思われる方もいるかもしれないが、私には新鮮に感じた。

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カメラレビュー第2回 Leotax S + Simlar5cm F3.5



Leotax S + Simlar 1:3.5 f=5cm

コピーライカ

 現在カメラマニア以外でバルナック型ライカを所持している人はどれくらいいるのだろうか。かつてライカ一台で家一軒買える値段と言われていた時代ならまだしも、現在はデジカメ全盛の時を通り過ぎてスマートフォン全盛の時である。中古のバルナック型ライカも手頃な値段になったが、わざわざ面倒な撮り方をしないといけないし、しかも現像にもお金のかかるフィルムで撮る人は極めて少数派になってしまった。その中でも、戦後の一時期、日本のカメラメーカーがこぞって製造したライカを模したカメラを買ってみようと思う人は、カメラ全体の販売量に比べて本当にごくわずかだろう。

  コピー品と言うとどうしてもオリジナルよりも劣ったものというイメージが付いてしまい、保守的なライカユーザーにはこれらの国産ライカを敬遠する人もいるかもしれない。実際私自身すでにライカII型(DII)を所有しており、長らくコピーライカには特に興味を持っていなかった。古いカメラを修理する職人と話す機会がよくあるが、決まって(ニコン、キヤノンを除いた)バルナックコピー機はオリジナルライカの精度には遠く及ばないと口を揃える。ただ、戦前から1950年代の日本で勃興した新興カメラメーカーの中でも、ニッカとレオタックスは比較的にカメラの作りが良いとも聞く。

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