残像


Olympus PEN FT + E.Zuiko Auto-S 1:2.8 f=38mm / FUJICOLOR 100

OLYMPUS-PEN-FTとRetina Reflex

 オリンパスPEN Fシリーズは、ロータリー式の独創的なシャッター機構のなせる技か、動体に対して低速でシャッターを切ると独特な残像を描く。同様にレチナレフレックスも数枚の残像が残るように写った。レンズシャッターであるにもかかわらず一眼レフに仕立てたこのカメラは、絶妙なタイミングで開閉するミラーが低速の場合の写りに影響が出るのだろう。20世紀初頭、イタリアで勃興した未来派のようだ。

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カメラレビュー第5回 PEN EE(Junk)



PEN EE

PEN EE

 「とに角、ボタンを押せばいいんですーー! シャッタースピードとか絞りとか、ピントなんてまるで昔がたり、そんなわずらわしさはみんなさようなら!」

 1961年、この衝撃的なキャッチコピーで誕生したPEN EEシリーズは、発売以降約20年ものロングセラーとなる銘カメラである。大衆の心をいかに掴むかは現在でもカメラメーカーを悩ませる問題だが、オリンパスPENシリーズは「カメラはプロが使うもの」から「いつでもどこでも誰でも写真を楽しむもの」と多くの人々の考えを変えてしまった最初のカメラであろう。

 かつて大ヒットしたこのカメラも、今では中古カメラ店のジャンクコーナーの常連になっている(当然整備された美品は1万円前後)。私が入手したPEN EEも中野の有名な中古カメラ店のジャンク箱の底に転がっていたもの。露出が正常に動作しないがレンズは綺麗だったのでジャンクにしては比較的高価(2500円)であった。

 店を出てすぐ、このジャンクPENにPANF50を詰め込んで撮り始めることにした。

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