画像認識

画像認識

「画像認識」原田達也著(講談社)

 私は仕事柄、多くのデジタル画像を見る機会があるのだが、長期間大量の画像を見てくると、Exifデータを見る前に(完璧ではないものの)だいたいどのメーカーのカメラで撮られたものかが分かるようになってくる。カメラが好きな方も、様々なレビューサイトでこれはキヤノンの絵柄だな、とか、この色味はソニーだろうな、とか感じる方もおられるでしょう。Aiの発達でずいぶん過去に撮られた写真を読み込んで、どのカメラのどんなレンズが使用されたかが分かるようになれば面白いかなと思ったが、これは私を含めた古いカメラマニアが喜ぶだけで、一般的にはあまり実用的ではない。しかし、画素からどのようなものが撮られたかをコンピューターに判断させる画像認識(Image Recognition)は、車の自動運転や個人の顔認証等ですでに重要な技術になっているが、将来のカメラにも今後大きな影響を受けることになるだろう。

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カメラレビュー第9回 ヤシカ(2) TOMIOKA


Yashica Penta J + Tomioka Tominon C. 1:2 f=5cm / FUJICOLOR C200 (Cropping)

TOMINON

 富岡光学製のレンズを評するときにしばしば言われる「トミオカの写り」というものがあるが、具体的にどういうものなのか私は分からないでいた。それは富岡光学が多くのメーカー向けに様々なタイプのレンズを製造していたということもはっきりしない原因のひとつであろう。ヤシカのカメラに注目するにあたって、いくつかのTOMIOKA銘のレンズと富岡がOEMで製造されたとされるものを試写し、このいささか神格化された感のあるメーカーのレンズを批評するにはまだまだ使い込みが足りないのだが、現時点で私が言えるのは「トミオカの写り」を本当に味わいたいのであればTOMIOKA、あるいはTOMINON銘のレンズを買っておけ、と言うことだ。

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写真の店ラッキー


写真の店ラッキー

 そこは閉まったままのシャッターが目立つ、失礼ながら繁盛しているようには見えない商店街。中ほどにあるペンギンカメラで用事を済ませ京急の子安駅に向かって歩いていくとふと薄暗いカメラ屋さんが目に入る。私の郷里の広島市内にもこのような古い写真機がガラスの窓際に並んだカメラ屋が点在していたな、と懐かしく思いながらその陳列棚に飾られたカメラをしげしげと眺めた。見るとローライプラナーを付けたフォクトレンダー機の近くには軍艦部が取れかかっているペトリ。入り口近くの棚を見るとTコート付きのJenaゾナーやS型ニコンなどなかなかマニアックである。

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