マミヤスケッチ
宮部甫氏の設計。マミヤスケッチは当初、ペンタゴン社のペンティをヒントに距離計のないハーフサイズのシンプルな小型カメラとして計画したものだった。しかし、社長からの注文・製造部の仕様変更等により「私の最初のオリジナリティはすっかり失われてしまい、特徴のないカメラになってしまった。」という。それゆえか、不可解な巻き戻し矢印、取扱いに起因する故障のしやすさなど、返品続出であまり台数は売れなかったとある。
その後まもなく、オリンパスからハーフサイズカメラのベストセラー、オリンパスペンが発売される。いち早くハーフサイズに注目していながら、アイデアが受け入れられなかったことに宮部氏は相当悔しい思いをしたに違いない。ほどなくして彼はマミヤを去ることとなる。自伝「カメラと私」でマミヤスケッチを面白味の無いカメラと自ら評して書き残しているが、さて、半世紀以上経た現在はどうだろう。宮部氏の当時の評価とは裏腹に、スクエアサイズで距離計を搭載という仕様変更が、他メーカーには無い、最も特徴的で面白い小型カメラとなっているように私には見える。
搭載されているMAMIYA-SEKOR 1:2.8 f=3.5cmは小さなレンズだが、上品で端整な解像感はセコールそのもの。
出典・参考文献