Pax35
バルナックライカを横にギュッと縮めたようなPax35。大和光機は1950年代前半、ボルタ判のダン35、ニホン判(24×32判)のスーパーダンというカメラを作っていた。そしてスタンダードである24×36mm判に修正したPax35を発売し、主に戦後のアメリカ進駐軍、アメリカ本国で人気を博したと言う。
シリーズを通してパックスの最大の魅力はこの小さなボディで距離計を搭載していることだろう。特に初期型のPax35は、カリカリと巻き上げて、シャッターチャージをして、距離を合わせて、と操作する楽しさがある。鉄の塊なので大きさに対してずっしりと重いが、可愛い外見のため首から下げていると注目度は高い。一見バルナックライカを彷彿とさせるので堅牢に思えるかもしれないが、カメラの構造はシンプルなもので、特にレンズ周りは華奢で扱いは慎重に行ったほうが無難だ。当時、あまり質の良くないグリスが使われていた為、ヘリコイドや巻き上げなどの駆動部分が固着しているものも多い。レンズのLuminor Anastigmatは結構シャープに写る。小型のためトイカメラをイメージしがちだが、こう見えてもライカ判、決して侮れない描写である。
出典・参考文献