Dejur Petri Compact

 国内ではペトリハーフとして知られる輸出仕様版。ある中古カメラ店の棚に飾られていて、周りに置いてある普通のカメラとは全く異なる、その個性的なスタイルに興味を持って触らせてもらったのだが、ライカビットのようなトリガーによる巻き上げと、視界を緑色にしてしまうそのファインダーに「なんじゃこりゃ」というのが最初の率直な感想であった。その個体は残念ながらレンズの状態が良くなかったので購入しなかったのだが、後日、ユー・シー・エスさんのネット店舗で整備済みのものが売りに出されていたので購入した。(現在は中古カメラの販売サービスは終了している)

ペトリカメラ

レンズの付け根から伸びるトリガー。比較的小さな角度で巻き上がるので小気味よく撮影できる。一連の動作は非常に楽しくて、撮っていないのに巻き上げたくなる。

上部カバーとボディとの波打つ境界線のデザインと光沢のある赤いエンブレムの配置が秀逸。金属製のレンズキャップが付属していたが、マグネットになっており下を向けても外れにくくなっていた。

 ペトリカメラに関してはウェブサイトpetri @ ウィキが詳しい。当時実際に働いていた技術者や設計者への体験談やカメラ・レンズの情報の数々は、当時の日本のカメラ産業の実態を知る上での一級の史料となっている。現在かつて存在していたカメラメーカーの中でも、ペトリカメラは中古市場において人気を保ち続けているのも、掲示板の有志の方々の地道で念入りな調査によるところが大きいだろう。こう言う私も同サイトに影響を受けた一人であり、下の作例にあるように、このペトリハーフで元工場のあった梅島周辺を撮り歩いたりもした。

Orikkorの描写

 ペトリハーフに装着されているレンズはOrikkor28mmF2.8、3群4枚、手元の資料によればテッサータイプとある。目測式でハーフサイズということもあり、被写界深度の深い、シャープな描写のレンズである。これは数ヶ月先行して発売されたオリンパスペンも同様であるが、ペンが性能の良いレンズにシンプルなボディ対し、ペトリハーフも良いレンズであるものの、かなり手の込んだ機械式のボディであり、生産数や全体的な採算はあまり芳しくなかったのではなかろうか。その後に出たペトリハーフ7はAE化されているものの、少々機械感に乏しい仕上がりである。

参考までにPetriColor35Dとベルビア50での作例。

 ペトリの中でもこのハーフカメラはどうしても庶民向けのイメージが先行してしまうし、残されている作例も手軽に撮られているものが多いので懐かしい写りをするものと思われるかもしれないが、リバーサルフィルムでしっかり撮ると、なかなかどうして、現代のデジカメにも負けないほどの描写をしてくれる。特に下に掲載しているVELVIA100で撮影した井の頭公園の水辺の表現は油絵具で塗ったような描写になった。加えて派手になりすぎず絶妙な渋めの色味を出してくれる。これは、古いライツやSマウント時代の古いニッコールを使っている時もたまに感じることで、ガラスの材質なのかコーティングの劣化具合なのか専門家ではないので憶測で申し訳ないのだが、時とともに上手く「枯れている」レンズというものがある。モノクロやネガフィルムでは気付かず、より色彩にシビアなリバーサルフィルムで撮ってみて初めて気付くのだが、このペトリハーフのレンズも時とともにより良く「枯れて」いるようだ。時代が少し進むが、ペトリカラー35(1968年より発売)でベルビアを使って撮ると、さらに色乗りが濃くなり、こってりとした色調の仕上がりになる。

 以下の作例は全てペトリハーフを購入した4年前に撮ったもの。



Dejur Petri Compact + A.C. Petri Orikkor 1:2.8 f=28mm / FUJICHROME VELVIA100



Dejur Petri Compact + A.C. Petri Orikkor 1:2.8 f=28mm / FUJICHROME VELVIA100



Dejur Petri Compact + A.C. Petri Orikkor 1:2.8 f=28mm / FUJICHROME VELVIA100



Dejur Petri Compact + A.C. Petri Orikkor 1:2.8 f=28mm / FUJICHROME VELVIA100



Dejur Petri Compact + A.C. Petri Orikkor 1:2.8 f=28mm / FUJICHROME VELVIA100



Dejur Petri Compact + A.C. Petri Orikkor 1:2.8 f=28mm / FUJICHROME VELVIA100

 以下はペトリカメラの工場のあった梅島周辺を歩いたときのもの。



Dejur Petri Compact + A.C. Petri Orikkor 1:2.8 f=28mm / FUJI 100



Dejur Petri Compact + A.C. Petri Orikkor 1:2.8 f=28mm / FUJI 100



Dejur Petri Compact + A.C. Petri Orikkor 1:2.8 f=28mm / FUJI 100

 梅島から少し歩くと荒川河川敷に出る。かつて工場で働いていた人たちも休みにはここに来ていたのだろうか。



Dejur Petri Compact + A.C. Petri Orikkor 1:2.8 f=28mm / ILFORD DELTA100



Dejur Petri Compact + A.C. Petri Orikkor 1:2.8 f=28mm / ILFORD DELTA100



Dejur Petri Compact + A.C. Petri Orikkor 1:2.8 f=28mm / ILFORD DELTA100



Dejur Petri Compact + A.C. Petri Orikkor 1:2.8 f=28mm / ILFORD DELTA100



Dejur Petri Compact + A.C. Petri Orikkor 1:2.8 f=28mm / ILFORD DELTA100

参考文献