レチナIIc・IIIc系を使うとカメラというのはシステムなんだということを痛感する。標準の50mmレンズでは問題ないのだが、他の35mm、80mmレンズの使い勝手の悪さは、利用者に極端な負担を強いることになっている。全体的な設計を考慮せず付け足しで機能を追加した結果たる所以だが、同じことはかつてのライカにも多少言えるだろう。1950年代後半から1960年にかけて、豊富な焦点距離のレンズを伴って登場したニコンFが、業界勢力を塗り替えることとなる。

 しかしながら、時代はめぐって、誰もが高機能なカメラを持つことができるようになると、こうした融通のきかないカメラの方がかえって魅力的に思えてしまう(おそらく少数派であろうが)のは、世の中どう転ぶかわからぬものだ。