OLYMPUS-PEN-FTとRetina Reflex
オリンパスPEN Fシリーズは、ロータリー式の独創的なシャッター機構のなせる技か、動体に対して低速でシャッターを切ると独特な残像を描く。同様にレチナレフレックスも数枚の残像が残るように写った。レンズシャッターであるにもかかわらず一眼レフに仕立てたこのカメラは、絶妙なタイミングで開閉するミラーが低速の場合の写りに影響が出るのだろう。20世紀初頭、イタリアで勃興した未来派のようだ。
かつての未来派は機械化・工業化・ひいては戦争をも称える非常に危険な社会運動であった。現代でも最新のテクノロジーを称え、それを表現に落とし込む場合、多くの人がそれを受け入れるかどうかは十分留意する必要があるだろう。このPEN Fとレチナの描写はどちらかと言えば機械の欠陥というと言い過ぎかもしれないが、技術を礼讃した未来派の描写に似るのは、いささか皮肉にも見える。