革命について
ハンナ・アーレントは著書『革命について』(On Revolution,1963)において、「革命」という言葉は本来天体の回転運動を意味し、それは人間があらがうことができない動きであり、新しさや暴力といった特徴としたものではないのだと説いた。
そして「すべての革命の主役たちにとりついた観念、すなわち、自分たちは旧秩序にはっきりと終止符を打ち新しい世界の誕生をもたらす一過程の代理人であるという観念ほど、「革命」という言葉のもともとの意味からかけはなれた観念はない。」と喝破する。それはかつて確立された所に回転しながら立ち戻る運動、つまり復古を目指すことを意味するのだと述べる。
今まさに米国の新しい大統領は、かつての素晴らしかった自国に戻ることを目指している。そして保守勢力が台頭する欧州やネオ・ユーラシア主義のロシアも同様の指向にある。それだけ各々の国内が相当傷んでいるあかしだが、問題はそれぞれの国のいつの時代に戻ろうとしているのか。近代以降どの国の「偉大な時代」も相当な人間の犠牲の上になされているが、再びかつての素晴らしい国に戻るためには同様の犠牲を払うことになるのだろうか。
出典・参考文献